クレーンの災害事例
CR13071
事 例
油圧エレベーター点検中の被災者が,昇降路天井と搬器上部に挟まれ死亡
業 種
その他のサービス業
機 種
エレベーター
被 災
死亡 1名
現 象
搬器と他の構造物による挟圧
あらまし
本災害は,集合住宅の油圧エレベーターが停止したままであるとの住民の通報を受け,点検・修理に向かった被災者が,エレベーター搬器の上で,天井と搬器上部に挟まれ死亡したものである。
5階建てマンションの住民より,エレベーターが5階に停止したまま降りてこないという通報がエレベーターの保守管理会社に入ったため,待機していた被災者が,点検・修理に向かい,現地に着き点検中の連絡が入った。その後数時間しても連絡がないので,緊急センターでは本人の携帯電話や当人の待機場所である当該支店に連絡を入れたが応答がなかった。このため,他支店の作業員が確認に行くよう指示され,現地についた作業員が確認したところ,①エレベーターの各階表示が消えており,昇降ボタンを押しても作動しなかった。②エレベーターの主電源はONになっていた。③搬器は5階に有り,エレベーターの扉は全開で内部の照明はついていたが,被災者は見当たらなかった。そこで,手動で搬器を下げ上部を確認したところ,上半身うつ伏せで操作盤に覆いかぶさるような状態で倒れている被災者を発見した。搬器上の操作盤最頂部と天井面との隙間は13cmしかなく,被災者は上昇しようとする搬器上の操作盤と昇降路頂部の天井面との間に挟まれて死亡したものと判断された。
また,昇降路上における保守点検時の作業員の安全確保のために,頂部安全距離確保スイッチを設けることがエレベーター構造規格や建築基準法上義務付けされており,当該エレベーターにも設置されていたが,被災時には搬器上の点検スイッチが手動運転モードではなく自動運転モードであったために当該スイッチが作動しなかったものと推測される。