|
あらまし |
災害は,自動車用ラジエータ部品のプレス工場に設置してあるチャージコンベア(ハンガーコンベア)のチェーンを補修する作業中に発生した.
チャージコンベアのチェーンが切断して動かなくなった旨の連絡を現場から受けた保全係長は,直ちに保全担当班長に伝え,さらに班長は,部下の被災者Aに対し現場を見てくるよう指示した.
現場へ赴いたAは,チャージコンベアの切れたチェーンの接続作業を行い,作業を終えたところでコンベアの起動スイッチを入れたがコンベアは動かなかった.
そこで,Aはコンベアが動かないのは第2駆動部あたりで,チェーンローラーがコンベアのレールに引っかかっているのではないかと判断し,1人でその場所に行き床面から2.1mの高さにある防護ネットの上にあがって点検したところ,チェーンレールの曲りを発見したので,そのことを,あとから来た補助者達に説明して修正作業を行った.
さらに,コンベアのその他の箇所を点検・調整していたところ,頭上にあるランウェイ上を天井クレーン(定格荷重5t,床上無線操作方式)が移動して来て,運転室がAの身体に接触するあたりまで近づいてきたため,Aと点検台でチェーンローラの割ピンを作っていた同僚Bは瞬間的に大声を出したが,天井クレーンは停止することなく通過してしまった.このため,Aは天井クレーの運転室下端とコンベア駆動モータ設置台のアングルとの間に頸部を挟まれて死亡した.
|
|