クレーンの災害事例
CR87031
事 例
4足玉掛け用ワイヤロープの集束シャックルから上のワイヤロープが切断し,つり荷の下敷きとなる
業 種
コンクリート製品製造業
機 種
天井クレーン
被 災
死亡 1名
現 象
つり荷の落下
あらまし
災害があった工場は.鋼線を緊張してコンクリート打設し,ボックスカルバートなどのプレストレスコンクリート製品を製造するものである.
工場建屋内には,No1~No4のアバットラインが並行しており,それぞれのアバットラインに緊張装置を設け,また,緊張装置を固定するためのコンクリート柱がラインのレール端近くにある.
災害は,緊張装置の緊張枠をNo2アバットラインからNo3アバットラインに天井クレーンを使用して移しかえる作業をしていたときに発生した.
移しかえの作業は,No3アバットラインの作業が終了し緊張装置が解体されてNo3アバットラインが空きとなったため,No2アバットラインにあった緊張枠をNo3アバットラインヘ移すためのものであるが,この緊張枠は,大きさ約1.5m×1.5m×3.6m,重量7.6tであった.
玉掛けの方法は,図示のように両端アイスプライスの玉掛けワイヤロープの一端を緊張枠の4隅のナット部分にそれぞれシャックルを使用し,目通しに取り付けた4本掛けとし,4本のワイヤロープの他端をシャックルにより集束して,これを両端アイスプライスによる長さ1mのワイヤロープを2つに折り返し,両端アイをシャックルに目通し,折り返しをクレーンフックに掛けたものである.また,この玉掛け作業は,被災者である職長Aとクレーンの操作者Bの2人で行われたものである.
Aの合図でBは床上押しボタン操作によりクレーンを運転し,約1.3mの高さにつり上げそのままの高さで横行中,クレーンフックに折り返し玉掛したワイヤロープが中央部分から切断し,つり荷が落下,Aがその下敷きとなったものである.
クレーン等の概要
1.クレーン
(1) 種 類:ホイスト式天井クレーン
(2) 能 力:つり上げ荷重10.2t
(3) 操作方式:ホイストつり下げ床上押しボタン方式
2.玉掛げ用具
(1) 玉掛けワイヤロープ:4本掛,フック掛ともZ撚りA,裸6×24,公称径12mm
(2) シャックル:ストレートシャックル