クレーンの災害事例
CR87062
事  例

玉掛用ワイヤロ-プが切断し,つり荷が作業者の上に落下

[あらまし]
業  種 機械設備修理業 機  種 トラッククレーン
被  災 死亡 1名 現  象 つり荷の落下
原  因 この災害の発生原因としては次のことが考えられる.
  1. 玉掛用ワイヤロープは,当初7mのものが数本準備されていたが,玉掛け業務に従事していた被災者が,小物の荷をつるために便利なように一部のワイヤロープを4.8mに改造して使用したこと.
  2. ワイヤロープは,径9mm,24本線6よりのもので,切断の原因となるようなキンク,形くずれ,素線の切断及び摩耗等の欠陥はなかったが,つり荷に対して不適格な長さ,またつり角度に間題があったこと.
  3. 当初の長さ7mのワイヤロープを使用すれば,つり荷の形状からつり角度は適正に保たれたが,改造した4.8mの長さでは,つり角度は130゜となりクレーン等安全規則に定められた安全係数6を下回る状態となったため,ワイヤロープが切断したと思われること.
  4. 被災者がつり荷の下をくぐり抜けようとした危険な行動をとったこと.
対  策 同種事故を防止するためには次のことが考えられる.
  1. 事業者はワイヤロープを改造したことを知らなかったようであるが.労働者が勝手に改造することがないように,常日頃から管理を厳正にすること.
  2. 被災者は玉掛技能講習修了者であり,当然玉掛け作業にあたっての知識,技能をもち合ていたと思われるが,災害発生状況からみると適正な取扱いをしていなかったので,資格を有する者であっても,事業者は現場の実情に即した安全教育を実施すること.
  3. 玉掛用ワイヤロープに限らず用具,工具等については点検のうえ,適正な状態を保つように安全管理体制を確立すること.
  4. 作業に関して,事業者は作業手順,方法等について作業標準を設定し,これを労働者に順守させることにより,安全の確保を図ること.
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