クレーンの災害事例
CR87091
事  例

ホイールクレーンで仮設昇降タラップを運搬中,高圧線に接近し感電

[原因と対策]
業  種 建築工事業 機  種 ホイールクレーン
被  災 死亡 1名 現  象 感電
 
あらまし 9階建SRC高層ビル新築工事現場でホイールクレーンを使用して,仮設昇降用タラップの撤去作業中に災害が発生した.
災害が発生した前日の工程会議で,鉄骨建方作業の一部にタワークレーンの作業範囲を超えたところがあるため,この部分については,ホイールクレーンにより作業を進めることが決められた.また設置場所の高圧送電線に関して,元方安全衛生責任者から下請事業場の現場責任者Aに対して電圧は66,000Vであること,送電線から安全な距離を保って作業すること等の一般的な注意がなされた.
当日は,下請事業場の作業指揮者Bとホイールクレーン運転士Cら4人で,トラックにより搬入されてきた鉄骨資材をホイールクレーン(最大定格荷重25t)を使用して降ろし,タワークレーンにより鉄骨建方作業を行った.その後,BはCにタワークレーンの届かない箇所ヘホイールクレーンを移動するように指示した.その際,Aから送電線に関する注意事項を伝え聞いていたBはCとともに,高圧送電線が作業現場の真上を通っていることを確認した.
作業はタワークレーンの届かない部分の鉄骨柱2本をホイールクレーンを使用して建てた後,ジブを23mに伸ばして梁を取付けた.さらに隣接部分の梁の取付けにあたり,昇降用に設置してある仮設用タラップが障害となるため,撤去しようとしたBはタラップの中間に玉掛用ワイヤロープをかけてCに巻上げさせ,さらに左に旋回するように指示し,土止めH鋼を越えた地点で一且停止させた.Bはタラップの下部手すりを両手で持ち,Cに指示してさらに左へ旋回させたところ,Bが突然うつぶせに倒れた.それと同時にホイールクレーンの右前アウトリガに放電火花がみられた.
高圧送電線の地上からの高さは22.5mであり,巻上ワイヤロープとの間に電気が流れ,玉掛ワイヤロープ,仮設昇降用タラップ,被災者という経路で感電したものである.
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