クレーンの災害事例
CR87111
事  例

車両積載型トラッククレーンでつり荷をつり上げ旋回中,クレーンが横転して下敷きとなる.

[原因と対策]
業  種 建築工事業 機  種 積載形トラッククレーン
被  災 死亡 1名 現  象 機体、構造部分が折損、倒壊、転倒
 
あらまし 2階建鉄骨造り,ビル新築工事の型枠工事用資材を車両積載型トラッククレーン(つり上げ荷重2.93t・ジブ伸縮5段油圧式)で搬入中に災害が発生した.
災害発生当日,現場責任者Aは本社事務所に出社後,資材倉庫に立寄りクレーン運転士B(被災者)と倉庫に常駐する作業員とともに,クレーンの荷台ヘフォークリフトにより型枠資材(重量3t)を積み込んで現場に向った.
工事現場に到着後,Aは元請の責任者と型枠資材を卸す場所について打合せを行い,一部を躯体基礎の中に,他は敷地の奥に仮置きすることになった.一方,Bは打合せの間に深さ1mに掘削された基礎部の法肩と平行にクレーンを停車させた.
Aは打合せ結果をもとに,荷を卸す位置をBと相談して,クレーンの旋回中心から5.9m離れた所に設定した.またBにクレーンの旋回に対する障害物の確認,傾斜角及び荷重計等の表示を確認したうえで操作を行うよう指示した.その後,Bはアウトリガを荷卸し側だけ最大に張り出して,クレーンを設置した.
荷卸し作業は.玉掛作業者を兼務しているAと,玉掛補助者Cがクレーン荷台上の資材(重量800kg)の玉掛けを行い,Aは地切り後のワイヤロープの張り具合や荷の安定状態を確認した後,再び荷台から50cm巻上げさせたところで荷の停止を指示した.
そこでAは,クレーンの旋回と巻下げの合図を地上から送るため,Cと共に荷台上から降りようとしたその時,Bが突然ジブを伸ばし左旋回をしたためクレーンの前部が浮き上がり横転した.
AとCは,横転寸前に飛び降りたためこと無きを得たが,Bは転倒側でクレーンの運転操作をしていたため,逃げ遅れて下敷きとなり死亡したものである.
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