クレーンの災害事例
CR88011
事  例

玉掛けしたままの状態で床上操作式天井クレーンを走行させたため荷が動き,はさまれた

[原因と対策]
業  種 金属製品製造業 機  種 天井クレーン
被  災 死亡 1名 現  象 つり荷、つり具が激突
 
あらまし 災害が発生した事業場は,主として鋼製滑車,荷役機械等の製造を行っている機械工場である.
災害発生当日,責任者Aと被災者B及び作業者Cを含む4名は,受注した鋼板運搬用のトング2基(重量1基4,040kg)を組立てるため,トング主梁を2個の馬に乗せて作業していた.
トング主梁のつりフックに,つり板(重量108kg)を取付ける作業をAとCが行ったが,まずAは天井クレーン(つり上げ荷重主巻15.16t,補巻3.033t)の補巻フックにつり板をつり,ナイロンスリングでつったままのつり板をピンで所定位置に仮止めした.
AはCに取付け箇所のボルト締めを指示し,自分はすぐ近くの部品置場で在庫部品のチェックを行っていた.一方Cはボルト締めを完了したが,玉外しをせずナイロンスリングをフックに掛けたまま,トイレに行くためその場を離れた.その後,他の作業者から機械加工を終わった部品をクレーンで運搬するようにAに依頼してきた.部品チェックに忙しかったAは.近くに居た作業者Eにこれを運搬するように指示したが,クレーンの操作は経験がないのでできないとの返事があり,Aはしかたなくクレーンのペンダントスイッチを持ち,つり板に玉掛げしたままの状態であることを全く確認せず,クレーンを走行させた.そのためトングの主梁が横に引張られて馬から外れ,ナイロンスリング(最大使用荷重1,500kg)に全重量がかかったため,スリングがアイのところから切断して落下し,トング主梁は隣のトング主梁にもたれかかるように激突した.
その時Bは,2基の主梁の間に入って軸受けにグリスを送るパイプの配管作業をしていたため,はさまれて死亡したものである.
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