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あらまし |
災害が発生したのは,電気機器に用いられるプラスチック部品の成形加工を行っている工場であった.
災害発生当日,被災者Aは午前8時頃から,成形に使用する材料と金型が置いてある倉庫において,並行して設置されている2台のスタツカークレーンを運転し,材料と金型の搬入搬出作業を行っていた.2台のスタッカークレーンのうち,1号機は材料の搬入搬出用に,2号機は金型の搬入搬出用に使用されていた.
午前11時頃,Aは2号機を自動運転にし,自らは,1号機を運転して材料の搬入搬出を行っていたところ,2号機の非常ブザーが鳴った.Aが2号機へいくと,4段目の棚に収納されていた金型の端部が木製パレットからはみ出し,これに2号機のフォークが引っ掛かって止まっていた.
Aは,2号機のフレーム下部に設けられた運転台にある操作盤の切替えスイッチを「手動」にし,非常ブザーを停止させた後.操作盤を操作してフォークを動かそうとしたが動かなかったため,上司のBに報告した.
Bは,他の作業者にスタッカークレーンを納入した会社へ連絡するよう指示した後,Aとともに現場に行き,操作盤を操作してみたが,やはりフォークは動かなかったため主電源を切った.
AとBは4段目の棚に上り,Aは2号機のフォークの上に乗り移って金型を棚側に押し,Bは棚の上でバールを用いて同じ方向へ金型をずらした.
ところが,金型がフォークから外れた途端,Aが乗っていたフォークが約3mの高さから2mほど落下し,Aは止まったフォークの上でバウンドしたのち,さらに地上に墜落した.
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