クレーンの災害事例
CR89071
事  例

浮きクレーンで作業中,つり荷に挟まれる

[原因と対策]
業  種 建設業 機  種 浮きクレーン
被  災 死亡 1名 現  象 つり具、つり荷と床の物体による挟圧
 
あらまし 人工漁礁を造成するため,浮きクレーンにより魚礁ブロックを海中に投入する作業中の災害である.
この造成工事は,海岸から約13kmの沖に,コンクリート製の魚礁ブロック(縦,横,高さともに3mで,重量約12t)を約500個投入し,人工の魚場を造成するもので,使用していた浮きクレーンは,つり上げ荷重120t,ジブ長さ31mの起伏,旋回式であり,クレーン台船は40m×17mのものであった.
災害発生当日,早朝から浮きクレーン台船上に魚礁ブロックを積み込み,浮きクレーンを投入地点までえい航した後アンカーにより固定し,運んできたクレーン台船上のブロックの投入を行った.その後は,別にえい航されて来た作業台船上の魚礁ブロックを,浮きクレーンで投入する作業に入り,11時頃までに1隻目の作業台船の投入を終了した.
11時20分頃,次の作業台船が現場に到着し,浮きクレーン台船に係留した.この作業台船の甲板は27m×128mの広さで,両舷に約20m程度の長さにわたって荷の落下防止用の囲いが設けられており,魚礁ブロックは24個積まれていた.
投入するブロックの玉掛け等には5名の作業員が当ったが,被災者を含む4名が玉掛け作業を,1名がクレーン作業の合図を行って,12個目まで投入した.
13個目のブロックは台船上の最もクレーン旋回体に近いところにあったが,これまでと同様の方法で4名が玉掛け作業を行っていた.合図者は玉掛け作業者4名が退避したことを確認してからクレーン運転士に対し巻上げの合図をした.運転士が巻上げを開始して地切りした直後,作業台船上の舷側にいた被災者が,落下防止用の囲いをまたいで内側に入ろうとしたところヘ,つり上げられたブロックが振れてきて,被災者は囲いとブロックとの間に挟まれた.
なお,当日の天候については,風は強くはなく,悪天候とは言えないものであった.
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