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あらまし |
被災者が所属する事業場はクレーン等の製造,据付を行う事業場であり,クレーン設置事業場からの依頼に応じて点検・修埋などのサービスも行っている.
被災者はこのサービス部門に属しており,災害発生当日もクレーン設置事業場からの依頼により,つり上げ荷重4.5tの天井クレーンの巻き上げワイヤーロープ交換を同僚1名と出向き,その作業中に墜落死亡したものである.
当日,依頼事業場からは正午から1時までの昼休み時間中に交換するよう頼まれていたが,被災者らが現場に到着したのはちょうど正午であったため,早速交換作業に取りかかった.
巻上げワイヤロープの交換は次の手順で行うこととし,被災者が地上で,同僚がガーダ上で作業を行うこととした.
- クレーンフックを地上まで下げ,古いワイヤロープ両端を巻き上げドラムから外して地上に下ろす.
- 古いワイヤロープの一端と新しいワイヤロープの一端を針金により緊迫して接続する.
- 古いロープを手で引張り,新しいワイヤロープをフックシーブ,エコライザシーブ,フックシーブの順に通す.
- 古いロープと新しいロープとの接続を外し,新しいロープの両端をクレーンガーダ上から引張り上げ,巻上げドラムに固定する.
被災者らはこの(1),(2)の順で作業を進め,(3)の各シーブを通す作業に入ったところで,古いロープと新しいロープの接続部がエコライザシーブに引掛かって動かなくなった.
そのため,ガーダ上の同僚はクラブ上のエコライザシーブ点検口からこれを直そうと点検口のふたのボルトを外していたが,そのとき被災者はクレーンガーダの下部に設けられた集電装置の点検台(地上からの高さ約9m)に上がり,ここからワイヤロープを引張ってシーブから外そうとしていた.
ところが,古いロープとの接続部が突然外れたため被災者はバランスを失って地上に墜落した.
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