クレーンの災害事例
CR89121
事  例

移動式クレーンで吊っていた鉄板が落下

[原因と対策]
業  種 造船業 機  種 クローラクレーン
被  災 死亡 1名 現  象 つり荷、つり具が激突
 
あらまし 廃船となった鋼船をガス切断により小片に解体し,製鋼原料として販売する事業を営んでおり,事業場構内に置かれた大きなブロックに切断された船体を順次小片に解体する作業を行っていた.災害発生当時は,図1のように甲,乙及び丙の大プロックが並んでいる状態で乙ブロツクの上の甲プロックの解体を行っていた.
被災者Aは甲ブロックの上面に乗ってガス切断作業を行っていたが,これを見た作業指揮者Bは当該面が地上から約2.5mの高さであり,高所作業で危険なため,Aに作業を中断させた.Bは移動式クレーンにより甲ブロックを乙プロックの横の地上に降ろして,Aに作業を続けさせようと考え,Aに対してその旨を説明し,先ず甲プロックの端部に2箇所玉掛けのための穴をガス溶断によりあけるよう指示した.
Aが穴をあけた後玉掛者のCとその補助者のDが甲プロックの上に乗り.シャックル,チェーン及びワイヤロープを用いて玉掛けを行った.
Bは甲プロックをつり上げるためつり上げ荷重32tのクローラクレーンの運転席で待機していたが,玉掛作業が終了したのでクレーンに備え付けのスピーカーで関係作業者に退避を指示した.BはCとDがクレーンの両側に退避したのを確認した後クレーンの巻き上げを開始した(このとき,Aの姿はBからは見えていなかった.).
巻き上げ途中にBは甲プロックと乙ブロックとの間に鉄板が挟まっていることに気付いたが,つり上げには支障ないと判断しそのまま巻上げを続けた.ところが,図に示すように当該鉄板の下面にはU字型の金具が付いており,甲プロックをつり上げるに従って,鉄板がU字金具の頂点を軸にして回転し,甲プロックと乙プロックとの間に落下して,甲プロックと丙プロックの間にいたAに激突しAは死亡した.
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