JCA cr90041

あらまし

災害が発生したのは，建設資材などのリースを行っている事業場の資材置き場においてである．
災害発生当日の夕方７時頃，下請事業場の労働者Ａが車両積載型トラッククレーンの荷台上に鋼板７枚（１５３cm×６１１cm×２cm，１枚の重量約１.５ｔ）を積み，この資材置き場まで運転してきた．
この資材置き場にいた被災者Ｂは，運ばれてきた鋼板を場内に高さ約１９０cmで既に積み上げられている鋼板の上に置くことにして，当該クレーンをその横に移動するようＡに指示した．
Ａが指定位置に停車すると，Ｂはこのクレーンのアウトリガの張り出しを行い，クレーンを操作してジブを荷台上に移動させた．Ｂの指示によりＡが鋼板を荷台に固定していたワイヤロープを外すと，Ｂは事務所から持ってきていた玉掛用具（両端アイのワイヤロープの一端にシャックルを介して外れ止めのないフックを取り付けたもので長さ約１ｍ，主として地面などに置かれた鋼板を浮かすために用いるもの）のフックを鋼板の中央部端に空けられている穴に掛け，クレーンを操作して鋼板の山の上に卸した．
２枚目の鋼板を卸すため，AはBから指示されたとおりフックを鋼板の穴に掛けたあと，鋼板の山に上がって待機した．
Ｂはクレーン操作レバー側を向き，アウトリガにまたがった姿勢でクレーンの運転を始め，ジブを動かしてつり上げた鋼板を鋼板の山の上まで移動させた．ところが，鋼板の山の上につった鋼板の下端をつけた後，Ｂがジブを縮めたため鋼板が傾きはじめ，Ａは危険と思って声を掛けたが，Ｂがジブを縮め続けたため鋼板は更に傾き，フックから外れて落下し，Ｂの背中に激突した．