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あらまし |
災害が発生したのは,橋梁の建設工事を行っている現場の資材置場においてである.
被災者Aは貨物運送会社のトラック運転手で,災害発生当日の朝,鋼管10本(1本の径0.5m,長さ11.7m,厚さ9mm,重量約1.3t)を積み込んで,現場に到着した.トラックからの荷卸しは,元請が別業者に依頼した移動式クレーン(ホイールクレーン,つり上げ荷重25t)によって行うこととなっていた.
朝9時半頃,移動式クレーン運転士Bは鋼管を積んだトラック脇にクレーンを停め,アウトリガの張り出し等を行った後,他の下請事業場の作業員CとDに指示し,持ってきた両端アイのワイヤロープ2本の一端にシャツクルを介してフックを取り付けさせた.
Bがクレーンを操作し,クレーンフックを鋼管上にもってきたところで,AとCがトラック荷台上に上がり,ワイヤロープのフックを鋼管に掛け,他方のアイをクレーンフックに掛けた.Bが鋼管のつり上げを開始し,一旦地切りしたところで,Cは鋼管へのフックの掛かり具合を確認し,トラック荷台の後方から地上に退避した.
Aは荷台左側の鋼管上に立って様子を見ていたが,つり荷の鋼管がさらに上がったところで荷の下をくぐり荷台右前方部から地上に降りようとした.ところが,クレーンフックにかけられていたワイヤロープのアイが,フックの開口近くに掛かっていたためか外れ止めを押し曲げてフックから外れ,鋼管が落下してAに当たった.
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