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あらまし |
鉄骨構造用のH型の梁材を加工中,梁を反転させようとしたときに災害が発生した.
災害発生当日の午前中,被災者らは屋外の作業場において建物の梁となるH型の鋼材(フランジ幅0.3m,ウェブ部高さ1.2m,長さ約10m,重量約2t)のボルト穴明け作業を行い,穴明け終了後は手持ちグラインダーを使用してボルト穴のバリ取り作業を開始した.バリ取りを行うためにはH型鋼を反転する必要があるが,この反転には作業場に設置された片脚橋形クレーン(つり上げ荷重2.84t,ペンダントスイッチにより床上で操作する方式のもの)を使用して,作業責任者Aが運転を行っていた.
午後になり,6本目と7本目のH型鋼のバリ取りが終ったところで,作業者BはAにH型鋼の反転をしてもらおうとしたが,Aがいなかったため,Bは一人でクランプを用いて玉掛けし,クレーンを運転して6本目と7本目のH型鋼を起こしにかかった.
このとき,被災者Cと他の作業者Dは退避していたが,Bは7本目の梁が上下逆になっていいることに気づき,再度反転させようと7本目のH型鋼のフランジ部にクランプを掛けようとしたが,フツクの位置が高過ぎて十分深く入らなかった.
Bはフックの位置を下げようとペンダントスイッチで操作したが,誤って上昇スイッチを押してしまったため,フックが上昇してH型鋼が傾くと同時にクランプが外れ,H型鋼は6本目の方向に倒れかかった.被害者Cは,このとき6本目と7本目の間にいたため,倒れてきたH型鋼に挟まれて死亡した.
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