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あらまし |
橋梁のかけ替え工事において発生した災害である.災害発生当日は,かけ替える予定の橋の近くに仮設橋を設けるため,仮設橋の橋脚としてH鋼の打込みを行っていた.H鋼の打込みは,川から約4.5mの高さの土手上の幅約4.4mの道路につり上げ荷重40tのクローラクレーン(クローラ張り出しタイプ)を停め,くい打ち機として使用した.
午後3時頃,H鋼の打込み作業が終了したため,くい打機をクレーンの状態にもどし,後片付けとして,川の中に置かれたポンプ(重量約4t)を,土手後方の畑に上げることとなった.被災者Aはクレーンを運転し,作業者Bが両端アイ付きのワイヤロープ2本を使用してポンプの玉掛けをした.このとき,クレーンのクローラは川側のみが張出されていた.
Aは,ポンプをつり上げ,右に施回させていったが,畑に置いてあった水槽に当たりそうになったため,ジブを少し倒しさらに右に旋回させた.ところが,ジブがクローラと直角方向にきたときクレーンが浮き上がり始め,畑の方向に転倒しそうになったので,Aは急いで巻下げを行った.
荷が着地すると同時に傾いたクレーンは元の状態に戻ったが,その反動でジブが反対方向に大きく振れ,衝撃のため玉掛ワイヤロープの1本が切れ,他の1本が荷から外れた.クレーンはそのまま滑るようにして川の中に転落した.Aは転落の途中で運転席から飛び降りたが,川底に落ちた時足を骨折した.
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