|
あらまし |
災害は合板を製造する事業場の合板用薄板を削り出す工場において発生したものであるが,この工場における作業工程は,
- 何枚かの木板を接着して直方体の材料を作る.
- その直方体の材料をスライサーと呼ばれる機械にかけ,合板用のごく薄い板を削り出すというものである.
スライサーにかけて削り残った部分(長さ2~2.5m,幅約30cm,厚さ5~10cm)は,工場床面から高さが約1mでスライサーの置かれた作業台上に置き,数枚たまったところでまとめて床上操作方式天井クレーン(つり上げ荷重1t)により所定の場所に運ぶことになっていた.
災害発生時,被災者はスライサー脇に削り残りの木板が7枚たまったため,これを運び出す作業を行っていた.被災者は7枚の木板(合計重量約400kg)が重ねられている下に両端アイ付きのスリングベルト1本を通し,木板の上のところで結んだ後,スリングベルトの両方のアイを,クレーンフックに掛けられていたハッカーの爪のところに引っかけた.このハッカーは木材運搬用のもので,リングに2本のカギ状の金具を取り付けた形になっていて,クレーンのフックに掛けたままの状態であった.
被災者は,その用具を使って自ら玉掛けをした後,作業台の上でクレーンを操作し,木板をつり上げて移動させようとしたが,そのつり荷が作業台から工場床に降りる階段の手すりに接触したため,さらに荷を巻き上げながら本人は階段を降りて工場床からクレーンの操作をしようとしたところ,スリングベルトの一方のアイがハッカーの爪から外れ,木板が落下して下にいた被災者に当たった.
|
|