|
あらまし |
この災害は,食料品を製造する事業場が工場内に新たな製造設備を設置する工事に併せて行った天井クレーンの設置工事中に発生した.
災害発生当日,当該事業場の作業者3名と移動式クレーンのリース会社から派遣された移動式クレーン運転士の4名は,天井クレーンの走行レールを取り付けるための鉄骨の柱及び梁を組立て作業を行っていた.この作業は,まず柱となるH型鋼をワイヤロープで玉掛けしてつり上げ,柱の脚部を基礎にボルト締めして固定し,次に梁をつり上げて柱上部にボルトで固定するという手順であった.
組立作業に使用した移動式クレーンは,つり上げ荷重4tの車両積載型クレーンであったが,鉄骨梁の取付け位置と工場建屋の天井との間が狭いため,梁の玉掛けにはワイヤロープを使用せず,工場にあったドラム缶をつるためのクランプを直接フックに掛け,このクランプを梁にかませてつり上げを行っていた.
災害発生時までに,片側の鉄骨の組立て及び反対片側の柱の固定が終わっており,被災者らは最後の梁を取り付ける作業にかかった.ところが,この梁(長さ5.4mのI型鋼,重量約300kg)の向きが反対となっていたため,一旦梁の向きを逆にしてから取り付けることにしたが,建屋内は十分なスペースがなかったことから,運転士は梁を斜めにつり上げてその向きを変えようとした.
被災者は梁にクランプをかませた後,車両の横で待機していたが,つり上げられた梁が突然クランプから外れて落下し,被災者の頭部に当たった.
|
|