クレーンの災害事例
CR90122
事  例

巻上げ用チェーンが切断し被災

[あらまし]
業  種 建設業 機  種 天井クレーン
被  災 重傷 1名 現  象 つり具、つり荷と床の物体による挟圧
原  因 本災害の原因として次のことが挙げられる.
  1. 巻過防止装置を無効にしていたこと.チェーンブロックには巻過防止のためのリミツトスイッチ等は付けられていたが,電気回路が変更され,機能しないようになっていた. このため,巻き上げを行ったときチェーンが巻過状態となって過大な力がかかり切断に至ったものと推定される.
  2. チェーンが損傷を受けた状態にあったこと.切断したチェーンの切断部付近にはき裂が多数生じていた.巻過防止装置が無効とされていたことによりこれまでにも巻過状態でチェーンに過大な負荷がかかったことがあったものと思われ,チェーンに疲労き裂が発生し,進行して強度が低下していたものと推定される.
  3. 本件災害の背景として,本クレーンの揚程が小さく上限ぎりぎりまで使用するため巻過防止装置の作動頻度が高かったこと,また,水平移動は人力によっており,チェーンブロックの操作コードを引いて移動させるため,コードが損傷しやすく,電気系の補修を何度も行っていたことから,巻過防止装置を無効状態としてしまっていたと考えられる.
対  策 同様災害の防止対策として次のことが考えられる.
  1. 安全装置は確実に作動する状態としておくこと.安全装置を有効な状態に保持しなければならないことは当然である.作業前点検においてその機能を点検し,故障があればただちに補修しなければならない.
  2. 定期自主検査を確実に実施し,必要な補修を行うこと.月例及び年次の定期自主検査において機械全体の安全をチェックすること.特に,チェーンやワイヤロープのように損耗が進みやすいものについては入念に検査する必要がある.本件のチェーンはき裂の発生ばかりでなく,かなり摩耗が進んでいた.
  3. 安全管理体制の確立を図ること.上記1.,2.のような点検・検査が的確に行われるためには,その実施体制を整備し,責任者を定め,計画的,組織的に進められることが重要である.
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