クレーンの災害事例
CR91022
事  例

巻き上げワイヤロープが送電線に触れ感電

[あらまし]
業  種 建設業 機  種 トラッククレーン
被  災 死亡 1名 現  象 感電
原  因 本災害の原因としては次のことが挙げられる.
  1. 感電防止措置がとられていなかったこと.
  2. ダンプトラックを送電線の下に置くなど作業の方法が不適当であったこと.
  3. 作業者が移動式クレーンによる作業について十分な知識を有していなかったこと.
対  策 本件災害のように移動式クレーン作業での感電災害は依然として多数発生している.感電災害は危険要因が明確であり,対策を怠らなければ確実に防止できる災害である.このような災害を防止するための対策として次のことが挙げられる.
  1. 感電防止措置としては,囲いを設けること,電線に絶縁用防護具を装着すること等があり,これらが著しく困難な場合には監視人を置いて作業を監視させること,これと併せて移動式クレーンのジブの移動範囲を制限するためのゲート等を設けることなどがある.
  2. 感電のおそれがないような作業方法とすること,本件の場合,送電線の直下にトラックを停めているが,作業場所には余裕があり,トラックを送電線から離れた位置に停めることも可能であった.送電線に近付く必要がないような作業方法を検討することが必要である.
  3. 作業計画を作成し,これにより作業を行わせること.上記2.のように適切な作業方法によらせるため,あらかじめ作業計画を作成し,事前打合せを行ってから作業を行うことが重要である.
  4. 作業者に対し十分な教育を行うこと.移動式クレーンによる作業はこのような感電のみならず転倒,つり荷の落下等種々の危険を伴うものである.クレーンの運転者,玉掛者に対し必要な資格をとらせることはもとより,関係労働者を含め,くり返し教育を行うことが必要である.
  5. 作業標準の作成,周知を図ること.本件の資材置場のように作業場所が特定されている場合には上記1.の感電防止措置をとるとともに移動式クレーンの使用区域の設定する等作業標準を定めておくことが必要であり,その作成周知を図ることが重要である.
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