|
あらまし |
災害が発生したのは,道路橋の建設工事の現場である.道路橋は地盤からの高さ約12mで,鉄筋コンクリート製の橋脚及び橋桁から構成されている.
災害発生当日の作業は橋桁部分が完成したため,コンクリート打設用の型枠支保工を移動させるものであった.型枠支保工はパイプ支柱を筋かいでつないで構成したもので,大きさは高さ約10m.幅約3m,奥行約9mであり,このパイプ支柱の上部に幅方向に型枠支持用のH鋼が4本取付けられていた.パイプ支柱とH鋼の間はボルトでつながれており,H鋼の上にはジャッキが取付けられ,さらにその上部にH鋼を乗せて型枠を支持する形となっている.重量は全体で約8tであった.
この支保工はコンクリート打設が終わる度に解体するのでなく,組立てたままの状態で別の打設箇所に移動して使用することにより作業の効率化を図っていた.
支保工の移動作業は,先ず上部のジャッキを下げてその上の型枠を解体し,ジャッキ上のH鋼等も取り外す,次に支保工下部にコロを入れ,横に引いてクレーンでつり上げ可能な位置まで引き出す,移動式クレーンでつり上げ所定の位置に移動させるという順に行うものである.
前日までに支保工の横移動が終了したため,当日は朝からクレーンでつり上げ作業にとりかかった.使用したクレーンはつり上げ荷重40tのクローラクレーンで,作業は移動式クレーン運転士,作業指揮者,玉掛作業者2名の計4名で行っていた.玉掛作業者がワイヤロープ4本を使用して玉掛けをした後,作業指揮者の合図で支保工を少しつり上げ,次にジブを少し起こしたところ,つり荷のH鋼が橋桁に当ったためパイプ支柱とH鋼をつないでいるボルトが切断しH鋼が落下した.
このH鋼が,玉掛けを終えて支保工の下方で待機していた被災者に落下したものである.
|
|