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あらまし |
災害が発生したのは鉄筋コンクリート造4階建の建築工事現場である.
災害発生当日までは,3階床部分のコンクリート打設が終了しており,建物周囲には枠組足場が4層組み立てられていた.足場上部には足場板が敷かれていたが手すり等は設けられていなかった.足場の4層目は3階床部分とほぼ同じ高さとなっている.
災害発生当日は3階部分の鉄筋組み,5層目の足場の組立て等の作業を行う予定となっており,これらの荷上げには,建物北側に停めたつり上げ荷重20tのトラッククレーンを使用することとしていた.
朝から,先ず鉄筋資材の荷上げが行われ,3階床の北側部分に鉄筋を置いた.次に足場部材の荷上げを行うこととなったが,建物床上には置けないため,建物北側に2列に組まれた枠組足場3スパン分の作業床面上に上げることとした.この作業は移動式クレーン運転士と玉掛け等を行う作業者A,B,Cの3名で行い,このうちAは地上で玉掛けを,BとCは足場上で荷受けを行うこととなっていた.
最初に,針金で縛った建枠50本をワイヤロープで玉掛けして足場上までつり上げた.BとCは玉掛けワイヤロープを外し,縛ってある針金を外し,25本の建枠を足場上の別の位置に移した.残りの25本は建物の上に移すことにしていたが,足場上には建物側に型枠資材が置かれており,手に持って運ぶことは困難であるため,クレーンで運ぶこととした.地上から足場上に上がってきたAはBと共に別図のように重ねた建枠25本の隅2ケ所にそれぞれワイヤロープを掛け,ワイヤロープのアイをフックに掛けた.
Aは建物上に移動して運転士に巻き上げの合図を行い,荷が約1mつり上げられたところでBが玉掛けした側の下の建枠2本にワイヤロープが掛かっていないことに気付いたため,Aはクレーン運転士に荷を下げるように合図したが,高さ約1.6mのところで荷がワイヤロープから外れ落下した.
Bは足場上で荷が振れないように支えていたが,落下した荷が当たり,荷とともに足場から墜落した.
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