クレーンの災害事例
CR91061
事  例

仮置きした鉄骨が倒れ挟まれる

[原因と対策]
業  種 金属製品製造業 機  種 橋形クレーン
被  災 死亡 1名 現  象 床上の物体の転倒によりる挟圧
 
あらまし 災害が発生したのは,建築物の鉄骨部材の製作を行っている事業場で,鉄板,H鋼の切断,加工,溶接を行う工場建屋の裏にある資材,製品等を置いておく屋外の資材置場であった.
この屋外資材置場では,溶接加工をした鉄骨などの塗装作業も行われ,資材運搬用として橋形クレーンが4基設置されている.橋形クレーンは南北に4本敷設された走行レールの1対のレールにそれぞれ2基ずつ設置されており,つり上げ荷重はいずれも2.8tでペンダントスイッチにより床上で操作する方式のものである.
災害発生当日は,作業者3名が溶接加工の終わったトラス状の鉄骨(台形をしており,上辺約5m,下辺約7m,高さ約1.2m,幅約0.2mで重量約700kg)4本の塗装を行うため,その前処埋として鉄骨のさび落としを行っていた.さび落としは,まず,橋形クレーンの走行方向と並行に横に倒して置かれた鉄骨の片面を行い,次に,橋形クレーンにより鉄骨を反転させて横に倒し,反対側の面を行うという順序であった.
クレーンの運転,玉掛けは被災者が1人で行い,鉄骨の玉掛けは一端にシャックルを介してクランプを取り付けたもの1本を使用していた.
1本目の鉄骨のさび落としに続いて,2本目の片面のさび落としが終ったとき,被災者は鉄骨の長いほうの辺の中央付近にクランプを掛け,短いほうの辺を下にして鉄骨を起こし,そのまま少しつり上げて横に移動させた後,いったん地上に下ろした.鉄骨を反対側に倒すため,クランプの取付位置を変えようと,被災者が鉄骨の横に行って,クランプを鉄骨から外そうとしたとき,鉄骨が被災者側に倒れ,被災者はその下敷きとなって死亡した.
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