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あらまし |
災害が発生した事業場は,主に建設機械を使用して土地造成工事などを請負っているものであるが,この災害は,同事業場内の機械置場において自社の工事を行っているとき発生した.
この工事は,船舶用コンテナを利用して倉庫兼車庫を造るもので,H型鋼を組み合わせて造った台座(高さ約3m,幅約7.5m)の上に,船舶用コンテナ(縦約2.4m,横約12.2m,高さ約2.6m,重量約2.8t)2個をかけ渡し,コンテナを倉庫とし,その下を車庫としようというものである.
これまでにも,同様のコンテナを利用した事務所,倉庫などを造った事績があり,工事は本来の請負いの仕事の余裕を見ながら進められ,災害発生当日より前に台座は完成していた.
当日は雨天であったため,予定されていた土地造成工事の作業が中止となり,急にこの倉庫の工事を行うこととなった.当日の作業はコンテナを台座上に乗せるというものであり,午後,コンテナが運ばれてくるのを待って作業を開始することとした.
コンテナの運搬にはつり上げ荷重15tのトラッククレーンを使用し作業にはクレーンの運転士,玉掛け作業者(被災者)の他3名の作業者が当たることとしていた.
午後1時半頃,コンテナを積んだトレーラーが現場に到着し,クレーン運転士の指揮により先ずコンテナ2個を台座の横に下ろした.次に,コンテナを台座上に設置する作業に移り,1個目のコンテナを台座の上に据え付けた.
続いて2個目の設置作業に移り,被災者ともう一人の作業者がコンテナの玉掛けを行った.玉掛けの方法は,図に示すとおり両端アイのワイヤロープを使用し,コンテナ上部四隅にある穴にアイを通し,さらにそのアイに鉄筋を通すという形で隅部に止め,さらに四隅に止めたワイヤロープ2本に両端アイのワイヤロープを掛け,そのアイ部をフックに掛けるというものである.
コンテナを玉掛けした後,クレーンでつり上げ,台座の上まで運んでいったとき,急にコンテナが傾き,片側が一方の台座に当たり地面近くまで下がってしまった.玉掛けをした被災者はコンテナの振れ止めをしようと鉄パイプを持って台座の下で待機していたが,傾いてきたコンテナが当たり死亡したものである.
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