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あらまし |
事故が発生したのは鉄筋コンクリート造りのビルの新築工事現場である.事故発生当時は,ビルの基礎工事の一部として,アースオーガーを使用して地中壁を築造する工事を行っていた.
事故当日は朝から元方の職員4名と請負人の作業者8名の計12名でアースオーガーを使用して作業を行い,午後2時頃にはその日予定していた分の作業を終了した.その後,翌日の作業の準備をするため,アースオーガーの転倒防止と施工精度の確保のためにアースオーガー下に敷く鉄板の移動作業を行うことなった.
この鉄板の移動には,クローラクレーン(つり上げ荷重35t,ジブ長さ28m)の補巻きフックを使用しクレーン運転者と玉掛作業を行う者2名で作業を行った.この鉄板移動作業が終了したとき,翌日の作業の打ち合わせをするため,職員がこの作業に当たっていた作業者を呼ぴ寄せた.クローラクレーンの運転者はエンジンをかけたまま運転席を離れ,職長のところに行ったが9クレーンの補巻きのレバーが微速巻上げの状態になっていたため,補巻きフックの巻上げが続き,フックがジブ先端シーブに当たってジブが起き上がり,運転者らが気づいたときにはジブがほぽ垂直状態となっており,続けてジブが後方に倒れた.幸い周囲に作業者はおらず,また,ジブが工事現場外に出なかったため被災者は出なかった.巻上げレバーが入っていたのは運転者が運転席を離れる際,衣服が引っ掛かったものと推定される.
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