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あらまし |
災害が発生したのは,下水道の新設工事を行っている現場である.この下水道工事は,推進工法により径70cmの下水管を敷設するもので,約300mの工区に,マンホール7ケ所を設ける予定になっていた.
マンホールは,推進工事のために設けた立坑部に,コンクリート製円筒を立て,この円筒と下水道管をつないだ後,立坑の埋め戻しを行って完成させるというものであり,災害発生当日はこのマンホール設置工事が行われていた.立坑は深さ約6m,縦約2.5m,横約5mで,マンホールはこの立坑の中央部に設けることになっていた.
災害発生当日の作業は,
- 立坑内にマンホールとするコンクリート製円筒を据え付ける.
- 下水管周囲にコンクリートを打設するための型枠を設ける.
- 型枠内にコンクリートを打設する.
という順序である.
午後になって型枠作業が終了したので,3時頃からコンクリート打設を開始することとなった.コンクリートの打設には,逆四角すい形で,下部にコンクリートの流れを調節する開閉口が付いた鋼製ホッパーを用いる.このホッパー下部に径約30cm,長さ5mのビニール製シュートが付けられている.ホッパー上部四隅にはリングが付いており,当日はこのリングに足場用のつりチェーンで玉掛けした後,つり上げ荷重4.9tのホイールクレーンでつり上げて支持し,ミキサー車から生コンクリートを流し込んで打設することとしていた.
作業者は立坑上部でホッパーが振れないように支持する者2名,ホッパーの開閉を行う者1名,立坑内でビニール管を支持している者1名,流し込まれたコンクリートのならし作業を行う者1名という配置であった.
コンクリートの打設を開始した後,暫く経ったところでホッパー出口が詰まって,コンクリートがホッパー内に溜まり始めた.その後,ホッパー内に7~8分目まで溜まったところで突然つりチェーンが切断し,ホッパーが落下してビニール管を支持していた被災者にあたった.
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