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あらまし |
災害が発生したのは,粉状の工業用原料等の輸送を行っている事業場である.被災者は入社以来,粉体の原料を輸送するための専用タンクローリーの運転手をしており,原料メーカーから客先の工場あるいは工事現場までの輸送に当たっていた.
粉体原料の輸送は,原料メーカーの構内において,フレキシブルコンテナに入れられた原料(直径約1.2m,高さ約1m,重量約1トン)をタンクローリーに移し,客先まで運ぶというものであり,通常,タンクローリーにははフレキシブルコンテナ10袋分を入れている.
作業の手順は,先ず原料が置かれている倉庫の南側の,橋型クレーンが設置されている所にタンクローリーを停め,原料メーカーの作業員が,倉庫内から原料の入ったフレキシブルコンテナをフォークリフトで橋型クレーンのところまで運び,さらに,この作業員が橋型クレーンを使用してそのフレキシブルコンテナをタンクローリーの投入口上まで運ぶとともに,中の原料をタンクローリーに投入する,ということになっている.
災害発生当日は通常と異なり,フレキシブルコンテナ2袋を輸送するだけの作業であったため,被災者は単独で原料の積み込みを行うこととした.
被災者は,先ずタンクローリーを倉庫内にバックで入れて,フレキシブルコンテナが積まれている場所の手前で停め,次に,倉庫内に設置されている天井クレーン(床上操作方式,つり上げ荷重2t,揚程約5.5m)を使用してフレキシブルコンテナをつり上げ,タンクローリーの後ろのところまで移動させた.
続いて,タンクローリーに入れるために巻き上げをしていたところ,巻上げワイヤロープを巻き切り,ワイヤロープ端末固定部付近でワイヤロープが切断,フレキシブルコンテナが落下し,クレーンを運転していた被災者に当たった.
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