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あらまし |
災害の発生した事業場は,主にビル等の建築物の鉄骨組み立てを請け負っている会社である.災害発生当時は,3階建ての鉄骨造店舗の鉄骨組み立て作業を請け負い,作業を行っていた.
災害発生当日までに主要な柱,梁の組み立ては終了しており,当日は残った小梁等の組み付け作業を行うことになっていた.作業は同社の作業者が5名で行い,うち2名が地上で鉄骨の玉掛け作業等をし,被災者を含む3名が鉄骨上でつり荷の受け取り,ボルト組み等の作業を行う予定であった.
鉄骨の運搬には別会社の移動式クレーン(つり上げ荷重4,9tのトラッククレーン)を運転士付きで依頼していた.
移動式クレーンを建屋の北東の位置に停め,建屋の北西部分の小梁の取り付けから開始した.被災者は建屋北西端の3階床部分の梁上に立ち,鉄骨を受け取ることとしていた.地上で他の作業者が小梁(H型鋼で,フランジ部の幅8cm,高さ15cm.長さ120cm.重量約15kg)に直径10mm,両端アイのワイヤロープを用い目通し1本づりに玉掛けし,クレーンのフックに他のアイを掛けた.
合図者,合図の方法は特に定められていなかったが,地上の作業者がクレーン運転士に合図をし,つり上げさせた.クレーン運転士はおおよその見当でジブを施回させ,次にジブを倒して,被災者らのいる上空まで小梁を運んだ.鉄骨上の作業者がクレーン運転士に荷を下げるよう合図を送ったのでクレーン運転士が小梁を下げていったところ,小梁が3階天井部分の梁に触れ,玉掛けワイヤロープから外れて落下,下にいた被災者に当たり,被災者は約4m下の隣家の屋根上に墜落した.
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