|
あらまし |
災害の発生した事業場は,木造家屋建築から事業を開始し,数年前から建築用鋼材の加工,鉄骨の組立工事も行っている事業場で,災害はその鋼材の加工を行う工場において発生した.
工場は南北約20m,東西約30mの広さで,南側に3台の天井クレーンが,北側に2台の天井クレーンが設置されており,主に南側で鋼材の溶接を,北側で鋼材の切断と製品の塗装を行っている.
災害発生当日は通常と同じく鉄骨の加工等の作業が行われており,被災者は一人でビルの鋼製階段10個の塗装作業を行っていた.鋼製階段の塗装は階段部分の片面と,両側面をスプレーガンにより吹付塗装するもので,塗料が飛散するため通常一人で作業を行うこととなっていた.
塗装の順序は,まず階段の踏面部分を下にして置き,側面の一方を塗装する.次に工場の天井クレーン(つり上げ荷重2.8t,床上操作方式)により塗装を行った側面部分が下になるように起こし,踏面の面を塗装するというものであった.階段の方向転換をするための玉掛けは,クランプ1個を階段側面部分の鉄板にかみ込ませていた.
災害発生時の状況は被災者の単独作業であったため明確ではないが,被災者が2個目の階段の側面の塗装を終了し,クレーンで階段を起こして踏面の面の塗装を行い,次に他方の側面の塗装を行っていたとき階段が倒れ,その下敷きとなったものと思われる.
|
|