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あらまし |
被災者の所属する事業場は,土木建築用の資材の販売のほか,土木工事を行っており,主に下水道工事の請負いをしている.
災害が発生した現場も下水道工事を行う現場であり,道路沿いに下水管を埋設していくものである.埋設するヒューム管は一個が内径1.5m,長さ2.4m,重量3.3tのもので,前日までに約250m分の埋設工事が終了していた.
災害発生当日の作業は,既に掘削されている深さ約3mの溝にヒューム管を敷設し,これを埋め戻すというもので,ヒューム管のつり込みにはラフテレーンクレーン(つり上げ荷重25t)を使用した.埋設するヒューム管は前日,他の業者が現場に運ぴ込んでおり,埋設箇所の近くに4本並べて置かれていた.ヒューム管が置かれていたのは2~3゜の勾配のある所であったため,木製のくさびにより転がらないよう止めてあった.
当日の朝,移動式クレーン運転士がラフテレーンクレーンをヒューム管と埋設箇所との中問あたりに停め,アウトリガを張り出して設置した.被災者はヒューム管の玉掛けを行うことになっており,他の作業者は溝内に入った.被災者はワイヤロープにより玉掛けをしようとしたが,4本のヒューム管が接触した状態であったため,ワイヤロープを通すことができなかった.
このため,被災者はヒューム管を少し動かそうと,ヒューム管を固定していたくさびをバールにより外したところヒューム管が4本とも被災者の側に転がり始め,被災者はアウトリガとヒューム管との間にはさまれ,死亡した.
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