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原 因 |
本災害の原因としては次のことが挙げられる.
- ワイヤロープが損傷していたこと.
ワイヤロープの保守が不十分で,注油等されておらず,腐蝕が進んでおり,摩擦もあって素線切れがかなり発生していたものと見られる.
- ワイヤロープが所定のものでなかったこと.
災害の発生した車両積載型クレーンは所有者が何度か変わっているが,2年程前に巻き上げ用ワイヤロープが交換されており,このとき,所定のワイヤロープより径の細いものにされていた.災害発生時の荷重はワイヤロープの切断荷重に比べると小さいものであったが,シーブ溝に合わない径のワイヤロープを使用していたことが損傷を早めたことも考えられる.
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対 策 |
本件のような災害を防止するための対策としては,次のことが考えられる.
- ワイヤロープは移動式クレーンメーカーにより指定された適正なものを使用すること.ワイヤロープは消耗品であり随時交換する必要があるが,定められた構成,寸法のものとしなければならない.
- 定期自主検査等を確実に実施すること.また,点検,検査により不具合が発見されたときはただちに補修すること.
ワイヤロープはクレーンの構成要素の中でも損傷を受けやすく,保守管理上最も重要なものである.定期自主検査等においては入念に検査し,摩耗,素線切れ等が認められたときは適宜交換をする必要がある.また,ワイヤロープの損傷を防止するため,注油を怠らないことも重要である.
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