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あらまし |
災害が発生した事業場は,建築用鉄骨を製造するため,鋼材を溶接,溶断その他の加工をして,塗装を施す業務を行っている.工場にはつり上げ荷重2.8tの床上操作式天井クレーンが3台あり,鋼材の移動に使われていた.
この災害は,溶接作業が終了した鉄骨の塗装作業中に発生した.災害発生当日,塗装工Aは,鉄骨(H形鋼,450mm×200mm,長さ8.9m,重量約700kg)を架台(H形鋼,高さ35cm)3本の上に置き,塗装作業を行っていた.
夕方になって,その鉄骨の末端部分(下部フランジプレート下側)を塗装するため,鉄骨を反転することとなり,AはH形鋼の上部フランジに横つり用クランプを用いて玉掛けした.
このとき,他の仕事をしていた同僚の溶接工B及びCは,初心者であるAが一人で作業を行おうとしていることに気付き,その作業は一人で行うことは困難であろうと思い,それを手伝うために,Bが天井クレーンの操作を,Cが荷揺れを防ぐために鉄骨に手を添え介しやくを行うこととした.Aはその作業を離れた場所から見ていた(図1参照).
そこで,Bが天井クレーンを操作し,鉄骨をつり上げたところ,鉄骨がクランプから外れて倒れ落ち,Cの足が挟まれた.Cは病院に収容されたが,翌日死亡した.
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