クレーンの災害事例
CR92121
事  例

取鍋が落下,溶湯で大火傷

[原因と対策]
業  種 銑鉄鋳物製造業 機  種 天井クレーン
被  災 死亡 1名 現  象 つり荷の落下
 
あらまし 災害が発生した事業場は,工作機械等のベッド等大型の銑鉄鋳物を製造する事業場で,この災害は,鋳型に溶湯(約1300℃,2.4t)を注湯する際に発生した.
当日午後4時頃からマシニングセンタのベッド用の鋳物(鋳ばなし重量4.23t)用の鋳型(外形縦204cm,横304cm,高さ89cm)への注湯作業を始めた.
この作業は,2台の床上操作方式クレーンを用い,各々取鍋(自重1.5t)に電気炉から2.4tの溶湯を取り込み,鋳型上部に設けられた注湯口から取鍋を傾けて,同時に注湯するものであった.作業には鋳物工5名があたり,うち2名ずつで運搬,注湯を行い,残りの1名が鋳型上でのガス呼び(注湯中のガスの燃焼)の作業に従事した.
取鍋の吊環が太くてクレーンのフックにかからなかったため,クレーンのフックにS環(直径4cmの鋼棒をS字状に曲げた玉掛用具)をかけて取鍋をつり,鋳型の注湯口に取鍋を近づけ,傾けていたところ,突然S環が曲部で破断し,取鍋が約1.4m落下し.横転,溶湯が床に流出した.
この時,被災者は,空缶(直径36cm,高さ60cm)を踏台にしてクレーンを操作していたが,周囲に逃げ場がなく,西側の溶湯が流れた上を逃げたため,重度の火傷を負い死亡したものである.
なお,被災者の服装は,私有の合繊作業服に安全長靴であった.
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