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原 因 |
本災害の原因としては,次のことが挙げられる.
- 自家製であって使用荷重,安全係数も不明な,しかもき裂の入ったS環を玉掛けに使用したこと.
このS環は,10年以上前にこの事業場で製作したもので,使用荷重,安全係数についてなんら検討されないまま使用されていた.
- クレーンの玉掛用具であるS環について,その日の作業開始前に点検をしていなかったこと.
作業場所は,照明が不十分で,砂ぼこりも多い環境で,S環も砂などで汚れたまま点検もされることなく使用されていた.
- 作業服,作業靴が耐熱性でなかったこと.特に,作業服が合繊であったことが被害を大きくした.
- 使用していた踏台が不安定な空缶であり,周囲が雑然として逃げ場がなかったこと.
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対 策 |
同種災害の防止のためには,次のような対策が必要である.
- 玉掛け用フックは,安全係数が5以上のものとし,作業にあった使用荷重,耐熱性を持ったフック付きチェーン等で,取鍋を玉掛けすること.
- クレーン等を用いて玉掛けの作業を行う場合には,その日の作業を開始する前に玉掛用具の異常の有無について確実に点検を行い,異常が認められたときは,直ちに補修すること.
- 取鍋を用いる等大量の高温物を取り扱う作業場所には,耐熱アルミ服等の保護具を備付け,その作業を行うときには,作業者に着用させること.
- 作業場所については整埋整頓をはかり,踏台は安全で有効なものを使用すること.
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