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原 因 |
本災害の原因としては,次のことが挙げられる.
- フランジが大きく磨耗したシーブを使用していたこと.
シーブのフランジの厚さは通常10mm程度であるが,破損したシーブは,下側のフランジの厚さが2mm程度まで磨耗していた. Aフレームに取り付けられた下部ブライドルは,自重により,下に向く傾向にあるため,ワイヤロープがシーブの下側のフランジに強く当たり,シーブの下側のフランジだけが非常に磨耗していた.また,ジブ側の上部ブライドルについても同様の可能性があった.
- 定期自主検査においてシーブの磨耗状況について点検していなかったこと.
この移動式クレーンについては,定期自主検査は定期的に行われていたが,ブライドルのシーブの磨耗についての認識が低く,シーブの磨耗状況について点検が実施されていなかった.
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対 策 |
本災害においては,幸いに死傷者はなく,移動式クレーンのジブが損壊しただけであったが,玉掛作業中であれば,大きな事故となったものと考えられる.このような災害を防止するためには,次のような対策が必要である.
- 点検整備体制を見直し,定期自主検査は法令に定められた検査項目のほか,取り扱う移動式クレーンの特徴,作業の内容等に応じた内容とすること.
この移動式クレーンの場合,具体的には,シーブの磨耗を定期的に測定しておく必要があった.
- シーブの交換基準を定め,その基準にしたがいシーブを確実に交換すること.
シーブ溝部の磨耗の判定基準については,「移動式クレーンの定期自主検査指針」に示されているので,これを参考とされたい.
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