クレーンの災害事例
CR93022
事  例

下部ブライドルが破損しジブが倒壊

[あらまし]
業  種 建設業 機  種 クローラクレーン
被  災 なし 現  象 ジブの落下
原  因 本災害の原因としては,次のことが挙げられる.
  1. フランジが大きく磨耗したシーブを使用していたこと.
    シーブのフランジの厚さは通常10mm程度であるが,破損したシーブは,下側のフランジの厚さが2mm程度まで磨耗していた.
    Aフレームに取り付けられた下部ブライドルは,自重により,下に向く傾向にあるため,ワイヤロープがシーブの下側のフランジに強く当たり,シーブの下側のフランジだけが非常に磨耗していた.また,ジブ側の上部ブライドルについても同様の可能性があった.
  2. 定期自主検査においてシーブの磨耗状況について点検していなかったこと.
    この移動式クレーンについては,定期自主検査は定期的に行われていたが,ブライドルのシーブの磨耗についての認識が低く,シーブの磨耗状況について点検が実施されていなかった.
対  策 本災害においては,幸いに死傷者はなく,移動式クレーンのジブが損壊しただけであったが,玉掛作業中であれば,大きな事故となったものと考えられる.このような災害を防止するためには,次のような対策が必要である.
  1. 点検整備体制を見直し,定期自主検査は法令に定められた検査項目のほか,取り扱う移動式クレーンの特徴,作業の内容等に応じた内容とすること.
    この移動式クレーンの場合,具体的には,シーブの磨耗を定期的に測定しておく必要があった.
  2. シーブの交換基準を定め,その基準にしたがいシーブを確実に交換すること.
    シーブ溝部の磨耗の判定基準については,「移動式クレーンの定期自主検査指針」に示されているので,これを参考とされたい.
cr93022.gif
 
 
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