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原 因 |
点検,整備中の移動式クレーンで,ちょっとした作業を行おうとしたことがもととなったものであるが,この災害の原因としては,次のことが挙げられる.
- クローラクレーン輸送時用のローガントリーの状態で,移動式クレーン作業を開始し,さらにガントリーのテンションメンバーのピンも差し込んでいなかったこと.
- 移動式クレーン作業を開始するにあたって,作業開始前の点検を実施していなかったこと.
- このクローラクレーンの点検,整備にあたり,作業の責任体制が不明確であったため,塗装作業を行うときテンションメンバーのピンが抜かれたまま放置され,その後もそのままの状態であったこと.
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対 策 |
このような災害を防止するためには,次のような対策が必要である.
- クローラクレーンで作業を行う場合には,作業開始前に必ずハイガントリーの状態であることを点検で確認すること.
- クローラクレーン輸送時用のローガントリーの状態であっても,必ずガントリーのテンションメンバーのピンを差し込んでおくこと.
ローガントリーの状態で,ピンが差し込まれていれば,地面まで倒したジブを起こすことはできず,このような事故も発生しなかったと思われる.
- 移動式クレーンの点検,整備にあたっては,その作業の責任者を定め,その者に作業中に取り外したピン等の部品の復旧を確認させること.
この災害は,点検,整備中の移動式クレーンを臨時の作業に使用して発生したものであるが,このようなときには,特に注意が必要である.点検,整備を終了し,試運転等でその動作を確認した後に作業を開始する必要がある.
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