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原 因 |
本災害の原因としては,次のことが挙げられる.
- 巻上げ用ワイヤロープの点検が確実に実施されていなかったこと.
月例の定期自主検査,作業開始前の点検において,形式的には,巻上げ用ワイヤロープの点検は実施されていたものの,巻上げ用ワイヤロープが切断した箇所の周辺は,フック及びジブ頂部の両方のシーブを通る部分であり,最も摩耗がひどく,素線も多数破断していた.
- 移動式クレーンで,荷をつり上げている周辺に立ち入ったこと.
- 玉掛け作業者以外を作業場所に立ち入らせたこと.
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対 策 |
つり荷の落下災害は,非常に多く,クレーン等に係る死亡事故の約3割を占めている.
このような災害を防止するためには,次のような対策が必要である.
- 巻上げ用ワイヤロープの点検箇所を具体的に決め,点検を確実に実施すること.
巻上げ用ワイヤロープは,シーブに接触し,繰り返し曲げられることにより,摩耗,素線切れが,進行する.その発見のためには,作業状況を考え,最も多くシーブを通過する部分を特に点検する必要がある.そのためには,点検要領を作成し,巻上げ用ワイヤロープの点検箇所を具体的に決めておかなければならない.
- つり上げている荷の下及びその周辺には,労働者を立ち入らせないこと.
クレーン等安全規則では,ハッカーでつり上げられている荷等の下に立ち入ることが禁止されているが,その他の場所であっても,立入禁止とすべきである.
- 移動式クレーン作業の危険性について十分な知識を持たない者を作業場所に立ち入らせないこと.
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