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原 因 |
この災害の原因としては,次のことが挙げられる.
- ジブが最大起伏角度(82゜)で停止したままの状態で,旋回ブレーキだけを掛けて固定していたこと.
- ジブ転倒防止用のワイヤロープの長さが長かったこと.
このクレーンには,ジブの最大起伏角度を制限し,後方への転倒を防止するために,ジブ転倒防止用のワイヤロープが取付けられていたが,その長さが,規定のものより長くその機能を果たしていなかった.
- 風による危険が予想される状態であったにもかかわらず,そのまま長時間放置していたこと.
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対 策 |
このような災害を防止するためには,次のような対策が必要である.
- ジブクレーンを休止する際には,ジブの安定が保持される位置(通常60゜程度)にセットし,自由に回転できる状態とするか,ジブを強固なものに固定すること.
クレーンの取扱説明書には,それぞれのクレーンに応じて,強風時の措置が記載されているので,それに応じて対策をとる必要がある.
- クレーンの設置の際には,安全装置,付属品等については,十分確認し,そのクレーンに適合する部品を使用すること.
この事故についても,適正なジブ転倒防止用のワイヤロープが使用されていれば,防ぐことができたかもしれない.
- 強風による危険が予想される場合には,早期に修理等の対策をとるとともに,天候に注意し,当直等常に対応できる体制をとること.
このような,強風によるジブクレーンの倒壊災害,移動式クレーンの転倒災害を防止するために,昨年(平成4年)クレーン等安全衛生規則が改正されている.その趣旨を十分理解して,同種災害の防止に努めていただきたい.
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