クレーンの災害事例
CR93101
事  例

クレーンの点検作業中に被ばく

[原因と対策]
業  種 機械等修理業 機  種 天井クレーン
被  災 被ばく 4名(傷害なし) 現  象 その他
 
あらまし A研究所では,コバルト照射装置(コバルト60を装備)を使用して各種の放射線照射に関する研究を行っている.
この照射装置は,照射室が1階で,コバルト線源がその地下の貯蔵室に収納されており,使用の際には照射室のクレーン(定格荷重5t)により鉛製の遮蔽蓋(約600kg)とともにコバルト線源を引き上げ,照射室の照射台に置かれた検体に照射する構造となっている.
災害発生当日,A研究所からの委託を受けて,クレーンの点検・整備業者であるB社及び下請け業者の作業員4名がA研究所の照射室において,このクレーンの点検作業を行った.
作業者4名は,事前にA研究所の職員から作業上の留意事項等について指示を受け,作業者だけで照射室に入り,点検作業を行った.
作業が一応終了した段階で,滑車の動きに異常が認められたため,荷重をかけてクレーンを作動させることとし,コバルト線源の遮蔽蓋のつり手にクレーンのフックを取りつけ,少し持ち上げるつもりで巻き上げたところ,巻き上げ過ぎて,遮蔽蓋(厚さ26cm)の底が床面から約10cm程浮き上がってしまい,あわてて巻き下ろした.
この間約1分てあったが4名全員が被ばくして,最大被ばく線量は16ミリシーベルト(常時放射線業務を行っている労働者の年間の被ばく線量限度(50ミリシーベルト)の約1/3)であった.
なお,被ばく後直ちに健康診断を実施したが,全員異常はなかった.
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