JCA cr94031

あらまし

この災害は，法面補強工事に使用していたラフテレーンクレーン（つり上げ荷重４５ｔ）のつり荷が法面の格子枠に引っがかり，過負荷となったため，先端ジブが切損したものである．
災害の発生した工事は，すでにコンクリートで固められた法面に，ロックボルトを打ち法面の補強を行うもので，クレーンで斜面穿孔機をつり上げ，その斜面穿孔機で法面のコンクリートに穴をあけ，ロックボルトを打ち込むものであった
この作業は，工事開始から２０日間はつり上げ荷重３５ｔのラフテレーンクレーを用いて行っていたが，作業場所が高くなり，ジブの長さが不足してきたため，よりジブの長いつり上げ荷重４５ｔのラフテレーンクレーンに交換して作業することとなった．
災害発生当日は，その初日の作業であったため，朝からクレーンの設置，作業の打ち合わせ等を行ない，クレーンは本ジブを最長の長さ３９ｍまで伸ばし，さらに９ｍの補助ジブを取り付けて作業することとし，アウトリガーを最大に張り出して設置した．
移動式クレーン運転士Aにとっては初めての作業であることから，練習のために斜面穿孔機（２．４ｔ）を試しづりすることとし，巻き上げ旋回をした後，ジブを倒して法面に斜面穿孔機を近づけた．
斜面穿孔機が法面に接したところで，過負荷防止装置が働いて自動停止した．
そのため，作業計画を変更し，本ジブで作業を行うため，斜面穿孔機を下ろすこととしてジブを起こしたところ，突然本ジブの先端ジブ（第５段目ジブ）の根元が折れ，つっていた斜面穿孔機が法面とアウトリガーの間に落下したものである．
この作業は，試しづりであり，移動式クレーンの周辺から作業員を退避きせていたことから，幸いジブの折損とつり荷の破損だけで，人的災害はなかった．