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あらまし |
この災害は,道路新設工事に使用していたラフテレーンクレーン(つり上げ荷重25t)で発生したものである.
工事はL型擁壁(高さ4m,重量6t)を,あらかじめ床掘し基礎を打った場所に敷設し,その擁壁を2個敷設するごとに,順次埋め戻しを行いながら進むものであった.
5個目のL型擁壁を敷設した後,新しく造成した道を100mほど下った場所にある資材置場から6個目のL型擁壁をラフテレーンクレーンのつり荷走行で輸送してきて,既に敷設してある5個目のL型擁壁のそばに仮置きした.
この6個目のL型擁壁を敷設するに際し,クレーンの設置場所が軟弱であったためため鉄板(150cm四方,厚さ22mm)を敷いてアウトリガーを張り出したが,道路の幅員が狭く,中間張り出しの位置までしか張り出すことができなかった.
そのうえ,道路が大きく傾斜していたため,アウトリガーを張り出した状態で,車体は後方に7度ほど傾斜していた.
ラフテレーンクレーンを設置した後,6個目の擁壁を再びつり上げて,5個目に敷設した擁壁の先に敷設するため,ジブを伸ばし,右に旋回させ,敷設位置で停止させようとしたところ,旋回ブレーキが効かず,ジブの旋回が停止しなくなり谷側に旋回し続け,あわせて車体が傾斜し始め,ジブの先端が谷の斜面に着くと同時に,ラフテレーンクレーンが後部から谷側に滑り落ちた.
ラフテレーンクレーンは,斜面の立木をなぎ倒しながら山の斜面を滑り落ち,20mほど下で,立木に引っかかって停止した.
移動式クレーン運転士は,ラフテレーンクレーンが滑り落ちる途中で脱出し,足を骨折しただけですんだ.
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