クレーンの災害事例
CR94042
事  例

傾斜地での作業で移動式クレーンが転落

[あらまし]
業  種 土木工事業 機  種 ホイールクレーン
被  災 休業 1名 現  象 機体、構造部分が折損、倒壊、転倒
原  因 本災害の原因としては,次のことが挙げられる.
  1. 移動式クレーンを水平な場所に設置しなかったこと.
    移動式クレーンを大きく傾斜した場所に設置し,さらに,アウトリガーで車体を水平に調整していなかったことから,つり荷が低い方向に流れ,旋回ブレーキが効かなかったものである.
  2. 移動式クレーンのアウトリガーを最大限に張り出していなかったこと.
    アウトリガーを中間張り出しの位置までしか張り出していない場合は,前方と側方の定格荷重は大きく異なる.そのため,前方でつり上げることができる荷重であっても,側方では過荷重となり転倒する.
対  策 このような災害を防止するためには,次のような対策が必要である.
  1. 移動式クレーンはできるだけ水平な場所に設置し,車体の水平を確保するためアウトリガー又は重ねた鉄板等で調整すること.
    移動式クレーンは,水平な場所に設置することを前提に設計し,製造されている.車体を傾斜させたまま移動式クレーン作業を行うことは,今回のように旋回が停止しなくなる等大きな災害の原因となる.
  2. 移動式クレーンのアウトリガーを最大限に張り出して作業を行うこと.
    多少,設置場所が傾斜していたとしても,アウトリガーを最大限に張り出して作業を行っていれば,転倒することはなかったものである.
    今回のように,設置場所の制限からアウトリガーを最大限に張り出して作業を行うことができない場合は,移動式クレーンを水平に設置するとともに,作業の計画段階から,移動式クレーンの定格荷重を検討し,つり荷の重さに応じた作業半径で作業を行うことが必要である.
    たとえば,L型擁壁を1個敷設するごとに,順次埋め戻しを行い,作業半径を小さくして作業を進めるべきであった.
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