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原 因 |
本災害の原因としては,次のことが挙げられる.
- 定格荷重を超える荷重をたびたび掛けて使用していたため,壁クレーンのジブを支えているターンバックルのアイボルトのアイの溶接部分が開いたこと.
金型を取り外す作業は,横方向をボルトで固定されている金型を予めクレーンでつり上げるような状態にして行うため,注意して巻き上げないとクレーンに非常に大きな力が加わることがあるので,たびたび過荷重となっていた.
- 壁クレーンについて,1年以内ごと,l月以内ごとに行わなければならない定期自主検査を実施していなかったこと.
本クレーンは2年前に設置されたものであるが,設置以来一度も自主検査を実施しておらず,アイボルトの異常を発見することができなかったものである.
- 玉掛け及びクレーンの運転を行っていた労働者A,Bが,クレーン取扱業務及び玉掛業務にかかる特別教育を受けていなかったこと.
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対 策 |
このような災害を防止するためには,次のような対策が必要である.
- クレーンには定格荷重を超える荷重をかけて使用しないこと.
本作業のような場合には,金型の下に金型を支えるための台を置き,取付けボルトを外したあとで金型をつり上げる作業手順とする必要がある.
- 1年以内ごと,1月以内ごとに行う定期自主検査を確実に実施するとともに,その記録を保管すること.
3t末満のクレーンについては,性能検査はないが,それだけに自主検査の実施,検査結果に基づく補修が必要である.
- 労働者につり上げ荷重5t末満のクレーンの運転を行わせる場合には,クレーン取扱い業務に係る特別教育を,つり上げ荷重1t未満のクレーンの玉掛けを行わせる場合には,玉掛け業務に係る特別教育を行うこと.
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