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あらまし |
災害は,40階建てのビル建築工事に使用されていた工事用エレベーターの解体作業中に発生したものである.工事用エレベーターは,ラック式のカウンターウエイトを持ち,ガイドレール支持塔の左右に積載荷重2tの搬器がそれぞれ取り付けられた揚程140m(33階まで昇降)のもので,ビル躯体の内部に設置されていた.
災害発生当日の作業は,解体する工事用エレベーターを使用して昇降路の扉を取外し及びその後の手すり等の取付け,エレベーター呼び出し用インターホンの撒去であった.
災害発生当日の朝,元請け作業員Aから作業の説明を受けた5人の下請け作業員(B~F)は,扉が外された後の開口部を養生するために使用する手すり等の材料等を2階から33階までの各階に荷揚げし,エレベーターの最上階である33階で待機していた.
解体作業時に昇降路の扉を取り外すと,エレベーターの昇降を停止させる安全装置がはたらくため,Aは,2階から33階までの扉についてl階に設置された制御盤で安全機能を解除した後,33階で待機していた5人の作業員に作業の開始を指示し,33階から下階に向けた作業を開始させた.
その作業は,作業員Bがインターホンの撤去,作業員Cが昇降路の扉の取外し,作業員Dがその後の手すり等の取付け,作業員E,Fの2名が扉の荷下ろしをそれぞれ分担して行った.
作業が進み,22階の昇降路の扉の取外しが終了したCは,エレベーターの搬器への扉の積込みを待たずに,21階の作業にむかった.E,Fの2名が22階で扉を搬器へ積込み,1階に降ろすためエレベーター搬器を下降させたところ,下の階から叫び声が聞こえ,21階の昇降路内で扉の取外し作業を行っていたCが,工事用エレべ一ターの搬器と21階床の間に挟まれていた.
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