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あらまし |
災害は,36階建てのビル建築工事に使用されていた建設用リフトの解体作業中に発生したものである.
災害の発生した建設用リフトは,トラクション式のカウンターウエイトを持つ2本構の建設用りフトで,ガイドレールの高さが130m(32階まで昇降)のもので,将来エレベーターが設置される昇降路の内部に設置されていた.
災害発生当日の作業は,ガイドレールに取付けられた上限リミットスイツチ,ファイナルリミツトスイッチ及びそれらのケーブルを取り外す作業であった.
災害発生当日の朝,元請けの機械担当者から作業について説明を受けた2名の元請け作業員と3人の下請け作業員は,解体する建設用リフトに32階から乗り込み,ガイドレールの最上部から元請け作業員の指揮のもとに,取り外し作業を開始し,ケーブルを,搬器に取り込みながら下階に向け作業を進めた.
建設用リフトの運転は,搬器に据付けられている監視カメラと通話装置を用い,搬器上の元請け作業員がl階の運転室の運転者と連絡をとりながら行われた.
ケーブルを取り外し,搬器に取り込む作業を続けて6階まで下降してきたところで,1階運転室の運転者が操作レバーを停止に戻し,停止しようとしたが搬器が停止しなかったため,さらに,1階運転室に設けられた非常停止ボタンを押したが,搬器は停止しないまま速度を増して降下し,最下部の緩衝装置のバネに激突した.
その衝撃で,搬器に搭乗していた5名のうち,2名が負傷したものである.
なお,この建設用リフトには,定格速度の1.3倍の速度になると搬器の昇降を停止するガバナー式の落下防止装置と定格荷重を超える荷を積載した場合に搬器の昇降を停止する過荷重停止装置が備えられており,事故後の調査において正常に機能していたことが確認されたが,この作業の開始に先立ち,カウンターウエイトの解体が開始されており,通常の3.5tが半分のl.75tに低減されていたことが判明した.
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