クレーンの災害事例
CR95022
事  例

建設用リフトの解体作業中に搬器が落下

[あらまし]
業  種 建設業 機  種 建設用リフト
被  災 休業 2名 現  象 搬器の落下
原  因
  1. カウンターウエイトの重量が,通常の3.5tから半分の1.75tに低滅されていたこと.
    トラクション式の駆動装置は,駆動ドラムとワイヤロープの摩擦力により昇降させるものであるが,欠点は,片側の荷重だけが大きくなったり小さくなったりすると,駆動ドラムとワイヤロープの間に滑りを生じ,停止することが不可能となることである,
    本災害は,カウンターウエイトの重量を通常の半分にしたため,搬器と搭乗者の重量だけで,駆動ドラムとワイヤロープの摩擦力を支えることのできる限界状態となっていたにもかかわらず,さらに,ケーブル等の重量が加わりワイヤロープが滑ってしまった.
  2. 建設用リフトの搬器に人を乗せ昇降させたこと.
    建設用リフトは,荷物専用のエレベーターであり,入を乗せることは禁じられている.今回のような組立解体,点検調整等の際には,その作業の必要性から,安全確保のための措置を講ずることを条件として搭乗が認められるものではあるが,必要な限りにおいて搭乗すべきものである.
  3. 建設用リフトの解体のための作業手順についての検討が不十分であったこと.
    今回の解体作業は,建設用リフトが,将来エレべ一ターが設置される昇降路の内部に設置されていたため,作業場所が制限されるなど通常の解体方法では作業することができず,特別な手順で解体する計画となったが,それらの点についての検討が不足していたものである.
対  策
  1. 解体作業時に,カウンターウエイトの重量を変更して建設用リフトを昇降させるときは,建設用リフトの構造,能力等を十分検討し,それらに応じた条件で行うこと.
  2. 解体作業時等においても,建設用リフトにできるだけ人を乗せて昇降させないこと.
  3. 建設用リフト解体のための安全作業手順を定め,その手順に従って作業をすること.
今回の災害は,ケーブル等の取外し作業をカウンターウエイトの重量を低減する前に行い,さらに,搭乗する作業者についても,その人数及びその搭乗する期間等を最小限にしていれば,防止できたものと考えられる.
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