クレーンの災害事例
CR95081
事  例

フックが落下

[原因と対策]
業  種 土木工事業 機  種 クローラクレーン
被  災 軽傷 1名 現  象 つり荷、つり具が激突
 
あらまし 災害が発生した工事は,ニュータウン造成のための歩行者専用道路を整備する工事であるが,当日の作業は,路面舗装用のレンガ張りを行うため,材料置場にあるレンガを移動式クレーン(ジブが伸縮するクローラクレーン,つり上げ荷重2.52t)により,軽トラックに積み込み,工事施工箇所に運搬するもので職長Aの他3名の作業員B,C,Dで行う予定であった.
災害発生当日の朝,職長Aが他の現場も担当しているため,本作業現場への到着が遅れたことから,3名の作業員は特に打合せをすることもなく作業を開始した.
材料置場に置かれていたレンガは,木製パレットに13段積みされ,総重量が約l.5tあったため,準備していた移動式クレーンでは移動することができなかったことから,上部の8段を手作業で,軽トラックに積み込み,その後は,パレットごと移動式クレーンで積み込むこととした.
上部のレンガを積み込み終わっても,移動式クレーンの運転をいつも担当している職長Aが到着しないので,小型のクレーンの運転の経験のあった作業員Bが移動式クレーンを運転し,作業員C,Dは5段のレンガの積まれたパレツトに玉掛け用スリングベルトを通す作業を始めた.
作業員Bは,パレットのそばで,移動式クレーンのアウトリガーを張り出し,ジブをパレツトの方向に旋回させた後,巻過警報装置のスイッチを入れずに,フックを巻下げるためのレバー操作とジブを伸ばすためのレバー操作を同時に行い,パレットの真上にフックを降ろそうとした.
しかし,この移動式クレーンには油圧ポンプが1台しか組み込まれておらず,同時操作をした場合,巻下げの速度は極端に遅くなるものであった.
そのため,次第にフックが上昇したが,初めて移動式クレーンを運転するBは,フックの巻下げレバーの不具合と思い込み,レバー操作を繰り返していた.
そのため,ジブが速く伸び,フックが巻過ぎの状態のまま,ジブの先端が玉掛けの準備をしていた作業員Cの頭上まで伸びたとき,巻上げ用ワイヤロープが切断し,フック(重量20kg)が地上l.8mの高さから落下し,Cの頭部を直撃した.
幸い,Cはへルメットを被っていたため,へルメットに割れが入ったものの軽傷ですんだ.
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