クレーンの災害事例
CR95122
事  例

移動中のクローラクレーンが後方に転倒

[あらまし]
業  種 建設業 機  種 クローラクレーン
被  災 なし 現  象 機体、構造部分が折損、倒壊、転倒
原  因 本災害の原因としては,次のことが挙げられる.
  1. ジブを傾斜角度の上限近くまで立てたまま走行したこと.
    ジブを立て,荷を吊らない状態では,移動式クレーンは後方にカウンターウエイトがあることから,重心が機体後方となり,後方に対する安定性が減少する.
  2. ジブを上限近くまで立てたままで,坂道を走行したこと.
    ワイヤロープで起伏させる形式のジブでは,機体が傾斜し,ジブの水平な面に対する角度が90度を超えると,ジブが後方に傾くこととなり,非常に危険である.
また,実際には,走行時の揺れ,衝撃などの影響があるため,90度に対して十分な余裕を取る必要がある.
対  策 このような災害を防止するためには,次のような対策が必要である.
  1. 走行時には,ジブを倒し,十分な後方安定度を確保して走行すること.
    機体の重心を機体中央に移動させ,安全な走行を行うためには,ジブを適度に倒す必要がある.
    走行のために適切なジブの傾斜角度については,機種,ジブの長さに応じて決まることから,取り扱い説明書などで確認されたい.
  2. 長いジブを装備したクローラクレーンは,坂道を走行させないこと.
    長いジブを装備した状態で坂道を走行することは,特に危険であり,長いジブを装備した移動式クレーンを移動させる範囲は,水平な場所に限定する必要がある.
    本作業場においても,クローラクレーンの作業範囲をあらかじめ明確に定めておく必要があったものであり,坂道を移動させる場合には,あらかじめジブを解体し,カウンターウエイトも外し,十分な安定度を確保する必要がある.
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