クレーンの災害事例
CR96022
事  例

巻過防止装置が作動せず,フックが落下

[あらまし]
業  種 造船業 機  種 橋形クレーン
被  災 重傷 1名 現  象 つり荷、つり具が激突
原  因 本災害の原因としては,次のことが挙げられる.
  1. 主巻の巻上げと,補巻の巻下げを同時操作で行ったこと.
  2. 共用保護盤の修理をした際に,配線を誤り,巻過防止装置を無効としていたこと.
    修理した際に,巻過防止装置等の安全装置をバイパスする形で配線を行い,巻過防止装置が作動してもクレーンの巻上げが停止されない配線となっていた.
  3. クレーンの修理の経験がなく,クレーンの安全装置等についての知識がない者に,クレーンの電気回路図も渡さずに,修理を行わせたこと,
    電気保安要員Bは,クレーンの修理は初めてで.クレーンの電気回路図も渡されずに,作業を命じられたものである.
  4. 修理後の作動試験を実施していなかったこと.
対  策 このような災害を防止するためには,次のような対策が必要である.
  1. クレーンの運転においては,同時操作を避けること.
    特に,この災害のような上向きと下向きの両方向の動作,さらに,3動作同時操作は,同時に注意しながら操作することは不可能であり,絶対に行わないこと.
  2. クレーンの修理を行う際は,クレーンの設計図面等を参考として,クレーンの修理の経験のある者に行わせること.
    そのためには,クレーンの設計図面等の管理を確実に行うとともに,これまでの自主検査,点検の結果も参考として,クレーンの構造について十分知識のある者に修理を実施させる必要がある.
  3. クレーンの修理後は,作動試験を実施して修理した部分だけではなく,クレーン全体の動作の異常の有無を確認すること.
    今回の場合も,安全装置の動作確認だけでも実施していれば,このような災害は,発生しなかったものである.
  4. 修理実施者の資格,修理の際の設計図等の必要書類,修理後の点検等を定めた手順書を作成し,その手順書に従って修理を実施すること.
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