クレーンの災害事例
CR96032
事  例

クローラクレーンが後方に転倒

[あらまし]
業  種 土木工事業 機  種 クローラクレーン
被  災 なし 現  象 機体、構造部分が折損、倒壊、転倒
原  因 この災害の原因としては,次のことが挙げられる.
  1. 拡幅式のクローラを縮小したままの状態で,上部旋回体を側方に旋回させたこと.
    拡幅式のクローラを縮小したままの状態では,後方安定度が十分に確保されておらず,ジブを起こした状態では,後方転倒の可能性があった.
  2. 凹凸のある捨石基礎の上で,上部旋回体を側方に旋回させたこと.
    凹凸のため海側のクローラが捨石の凸部の上に乗り,移動式クレーンが堤防側に傾斜し,さらに,堤防側の転倒支点側のクローラの一部が凹凸のため浮き上がり,転倒支点の位置が海側に移動したことが転倒の要因と考えられる.
対  策 このような事故を防止するためには,次のような対策が必要である.
  1. 拡幅式のクローラを縮小したままの状態で,上部旋回体の旋回,ジブの起伏等の作業を行わないこと.
    移動式クレーン構造規格では,クローラを拡幅していない状態では作業を行わない拡幅式のクローラクレーンについては,クローラを縮小した状態での後方安定度は定められていない.
    これは,拡幅式のクローラクレーンをトレーラ等で輸送するときは,ジブ,カウンターウエイト等を分解し,クローラを縮小しておくる必要があり,作業現場においては,まず最初に,分解されたクローラクレーンのクローラを拡幅したうえで,ジブ等を組み立て,移動式クレーンとして完成させるためである.
  2. 拡幅式のクローラクレーンは,ジブ等を取り付ける前に,クローラを拡幅すること. ジブ等を取り付けると,車両重量が重くなり,クローラを油圧シリンダーで拡幅することが困難となる.
  3. 移動式クレーンは,十分な広さを確保することができる水平堅土上で使用すること. これは,移動式クレーンを使用する作業の最も基本となることであり,作業を開始する前に,十分に確認する必要のある事項である.
cr96032.gif
 
 
[ホーム]