クレーンの災害事例
CR96062
事  例

巻上げ用ブレーキが摩耗し,つり荷が落下

[あらまし]
業  種 プラスチック製品製造業 機  種 天井クレーン
被  災 死亡 1名 現  象 つり荷の落下
原  因 本災害の原因としては,次のことが挙げられる.
  1. クレーンの巻上げ装置のブレーキが,摩耗していたこと.
  2. クレーンを設置して以来,一度も点検を実施していなかったこと.
    5年以上の期間全く点検もせずに使用されてきており,その間の摩耗でブレーキシューがほとんど無くなっていた.
  3. 作業員からクレーンの異常の報告があったにもかかわらず,点検修理等を行わなかったこと.
  4. クレーンを運転するための資格,玉掛け作業を行うための資格を有しない者に作業を行わせていたこと.
    被災者Aは,クレーン及び玉掛けについての知識もなく,点検を行っていないクレーンの危険性に対する認識もなかった.
対  策 同種災害の防止のためには,次のような対策が必要である.
  1. クレーンの定期自主検査を確実に実施すること.
    クレーンには,ブレーキ,ワイヤロープ等を点検する月一回の月例の定期自主検査,全体の安全性について確認する年一回の年次の自主検査が義務付けられており,クレーンの安全確保のためには,定期自主検査の確実な実施が必要である.
    また,定期自主検査の方法については,天井クレーンの定期自主検査指針が示されている.なお,自主検査において,異常が発見されたときは,使用を中止し,修理,調整を実施しなければならない.
  2. 作業員から異常の報告があったときは,その異常について確実に点検すること.
  3. 3t末満のクレーンの運転の作業を行う者には,クレーン運転のための特別教育を,1t以上のクレーンの玉掛けの業務を行う者には,玉掛技能講習を受講させること.
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